Pharmaceutical Journal 

Pharm. D. Degree Part. 2

 Pharm.D. Degreeのその2である。システムの詳細はその1を参照されたい。勉強する期間が長くなるということは、それだけお金がかかるということである。したがって、ストレートに上がってくる学生は少ない。つまり多くが費用の捻出期間を置いているのである。加えて資格取得後の雇用と高所得が約束されているため、30-50代の学生も比較的多い。この高年齢層の学生はTAやTutoringをする大学院生側からすると比較的厄介な存在である。簡単に言えばコースについて行けないのである。たとえば、彼らは処方薬TOP500の名前、投与量、対象疾患を、最初の2年間で覚えなくてはならない。化合物の名前にしても疾患名にしても、かなりきつい仕事になる。結果、若い学生の方が成績がどうしてもよくなってしまう。実験にしてもメスシリンダーの読み方(メニスカスなど)から始める必要がある。教える方もグループワークは若い学生との混合で行われるように配慮をしているが、それでも時には補習が必要になる。それでは、すべてに大変かと思っていたら、最近そうでもないことに気がついた。Pham.D.という資格には薬を処方される患者への説明などのCommunication Skillも必須となる。このウエイトは医薬分業が確立しているアメリカにおいては結構大きいらしく、単位数も多い。このコースでは語彙力と多様な人としゃべるという能力で立場が逆転する。Ph.D.コースの学生は主にサイエンスに近い部分の補佐をしているため、最近まで気がつかなかった。しかし、Clinical Faclutyの授業の補習はほとんど若い学生で構成されていたのである。かくして、補習の時間になると、若い学生はClinical Facultyへ相談に行き、高年齢層は大学院生のところにやってくるのである。
 ところでこのPham.D.という資格、はたしてCVSやPharm.Aid.などドラッグストアで働くためにも必要な資格かどうかに疑問が持たれている。
その1にも書いたが、目的は「医者と対等なプロフェッショナルな薬剤師」である。しかし、一般のドラッグストアの多くは『対等』をそんなに必要としていないのが現状でもある。たとえば、先に書いた高年齢層の学生、その多くはPharm.D.として学界レベルで生きようなんて人はほとんど見当たらず、高収入が期待できるドラッグストアで働くことが目標なのである。また実際働くために必要な資格である一方、他につぶしのきかない資格でもある。たとえばこのPham.D.、いくら薬のことを知っていても、製薬企業から見ると学部卒業資格程度にしか見られていないのが現状である。5年もかけてとっても、薬局で働く以外、効力を発揮しないのである。もちろん、大学に残るのなら別ではあるがそれはそれで大変な競争である。結果、Pham.D.をとってからPh.D.へ編入する学生やPham.D.をとってからPh.D.を取り直す学生がちらほらと見えてきた。しかし2つの資格をとる以上、またまたお金がかかるのである。最終的にはお金の問題で妥協しているのが現状のようである。この資格、10年後にどうなっているか、わからないと思うこの頃、、。

(January 18, 1997)
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