Monologue on a Fine Day

Special Version Part.1

1996年渡米した自分が何気なく書いた文章。エッセイ風。

1996 August

"Professor and Truck"

 その日は朝から緊張していた。渡米したのが昨日だからってことではない。自分のピックアップを教授がしてくれることになっていた。始めの挨拶はどうしよう!やっぱり、'Nice to meet you again!"だよな、。"Pleasure"の方がいいかな。頭の中で英会話が乱れ飛ぶ。2年ぶりの再会である。学会での彼はイギリス人でも小さい方だが、その存在は世界が知るところであるくらい大きい。少なくとも自分には神様みたいな人なのである。
 約束の8:30を少し過ぎたころ、片手にスタバックスのコーヒーを持ち、見覚えのある顔が近づいてきた。"Welcome to Richmond, again !"と笑顔と手が迎えてくれる。すでにそれまで考えていたちゃんとした会話はなくなっていた。"Are these all your stuff ? OK ! Let us move to my wondeful car."。緊張しつつついていく。次に認めたのは青いトラックであった。いわゆるピックアップトラック。"This is my wonderful car!"。ふざけるようにそう言ってスーツケースを無造作に放り投げ、トラックはDowntownへと向かった。見覚えのある風景。ただ走るというだけの高速。そして、突然目の前に見える高層ビル群。ふと気づく、カーラジオから流れるクラシック音楽。"Do you like classical musics ? I really love it !"。ピックアップトラックとクラシック、なんかアンバランスだ。しかも、その両方と教授が自分の渡米を迎えてくれている。
 アメリカの母なる川Jamesを超えているとき、突然彼がラジオを止めてこう言った。"This Richmond is going to be your home-town. Enjoy yourself and your life"。僕は窓をあけ、風を感じた。そう、僕のRichmond生活は青いトラックとクラシック音楽で始まったのである。

(Aug 16, 1996)


 このトラック、最近またお世話になりました。自分の車が修理されてる間、1週間ほど借りてたんです。運転して見ると結構楽しかったです、運転籍高いし、、。いつか、こういうのも持ってみたいなあと思う今日この頃。

"Since you have a great smile"

 本業の学生生活を始める前にプロジェクトを先行させるということで教授とのディスカッションが設けられた。1対1の3時間。そんなに長いこと英語で話し合うことは生きてきて今までなかったので、非常につかれた。その中でのこと。他の学部の実験機械やテクニックを使わせてもらう必要があるかもしれない、という教授の意見を受けて、自分が" How can I approach them to let me use the machine ?"と聞いた。そのとき、教授は笑いながら、"Just smile and talk to them ! Since you have a great smile, I don't think it is difficult."。今まで、「怖い」とか「きつい」とか言われたことはあるが、「笑顔」をほめられたことはなかった。ディスカッションが終り、そのことを考えていたらポスドクの一人が" Anything wrong ? You look too serious."と心配してくれた。それ以来、なるべく笑顔を作るようにしてみた。そうすると、結構物事スムーズに進むような気がした。そうか、、自分に足らなかったのはこの笑顔か、。一つ学んだような気がしたが、まだとっさにはでてこない。

(Aug 27, 1996)


 先日一時帰国したとき、以前勤めていた会社で久しぶりにあった友人から「何か楽しそうだね!いつも笑っている。」と言われました。2年たって、『とっさにでてこなかった』笑顔が、今では普通になっているらいく、「やわらかくなった」と大の親友に言われてよかったと思った次第です。はい。


Go to September 1996

Back to main page