Monologue on a Fine Day

Special Version Part.2

1996年渡米した自分が何気なく書いた文章。エッセイ風。

1996 September

"Homo-sexual"

 HIVとカップリングで知られるHomo-sexualな人達は保守的なSouthであるはずのここRichmondでもよく見かける。「見かける」などと他人ゴトのように書いたが、実はアパートの隣人がそうである。アパートをシェアすることの多いアメリカにおいても、立派な社会人の、しかも男同志は滅多にない。自分には到底手の届かない高級スポーツカーを乗り回し、一見すると立派なヤンエグ(Young Executive)である。ある日玄関先で会った彼らはそのあとプールの方へ向かって『手をつないで』歩いて行った。買い物から帰ってきたときに、ふと目をやればプールサイドで一人がもう一人の背中にオイルを塗っている。嫌悪感を感じる方が恥ずかしいくらい、堂々としていた。聞くところによると彼らはそれぞれ銀行と有名どころの商社に勤めているとのことである。会社にはカミングアウトしているらしい。病院で書く初診カード、そこにもhomo-sexualの欄があるし、HIV Posi/Negaの欄もある。世間は特にHomo-sexualだからと言って差別をすることはなく、まるで眼鏡をかけているか、いないかのような感じの扱いをしている。つくづく懐の大きい国である。ふりかえって日本をみたとき、ふと一つの仮定が思い浮かんだ。今がんばっている血友病患者である川田龍平君。彼が血友病でなく、Homo-sexualがゆえに感染し、その社会での不平等を訴えて訴訟を起こしたら世間はどう反応するであろうか。今のように応援体制になったであろうか?疑問である。。カリフォルニア州ではHomo-sexual同志の結婚が認められたようである。こういった風潮をいいとか悪いとか言うのではなく、ある以上は認めよう、、それがアメリカの姿勢に思える。考え方によっては、他人は他人として干渉せずにやらせてしまうとも言えるが、、。その後隣人の部屋が1ベッドルームであることを知った。あなたならどう反応します?

(Sep. 12, 1996)


 ここに出てくる隣人、今も住んでます。最近夕食を一緒にしました。ついでに彼らの部屋も見せてもらったけど、キングサイズのベッドが一つだけありました。そしてそれぞれの仕事机の上には二人で写っている写真が、、。性別の違いはあれ、何よりも恋人同志です。そして今では自分もその二人の友達、、、。(注)だからといって自分はホモでもバイでもない、れっきとした女性が好きな男ですよ!

"Be Punctual !"

 アメリカに来て驚かされたことの一つに人々の時間に対するルーズさである。バスや公共手段についても同じ。1時間近く来なかったかと思うと2台続けて来たりする。もともと停留所には時刻表なんてものは存在しない。さすがにアムトラックはあるが、それでもその通りに全てが運行したことは1日たりとてないと聞く。サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジに行った帰り、バスの運ちゃんが突然赤でも渋滞でもないのに止まった。停留所かなと思った自分の愚かさよ、、運ちゃんは角のデリでアイスを買って戻ってきたのである。その間5分以上。誰も文句を言わない。『おいしい?』なんて聞いているおばちゃんまでいた。こうなると、文句をつけているのがばからしくなる。これは大学院生やポスドクについても同じことで19:00に終ると言って終ったことは、悪いがこの2か月ほとんどない。加えて時間への読みも甘い。あとで話してわかったことであるが、彼らは頭の中で『30分で終る』と思ったら、「30分と言うと『長い』と言われるだろうから、15分と言っておこう」と考え。『15分』が言葉としてでてくるらしい。自分はというと、この場合「30分と言って終らなかったら困るから40分と言っておこう」と思い、『40分』がでてくるのである。
 ある日本人の先生がベッドを新しく買った。バックオーダーだったので店員に『来週』と言われたらしい。今週は3週間目である。どうにもならないので、一緒に来て欲しいと言われ、彼らと話すと、どうやら本当はバックオーダーでなく、製造からやっているらしかった。何で正直に言わなかったの?と聞くと、『言いましたよ。きっと英語がわからなかったんでしょう!』と言ってきた。これを言われると自分でない以上、強気にはでられないのである。(自分だったらマネージャーを呼び出すところだが、、)。かくして、待つ羽目になる、

(Sep. 30, 1996)


 先日、エンジンオイルの交換をした。2時間でできると言われて。閉店前とりに行ったが、まだできていない。その晩はあずけたままにし、次の日朝一番でとりにいった。あわててやるものの自分の『マネージャーと話がしたい』を断わるだけの理由は彼にはなかった。かくしてオイル交換代を半額にせしめて、高笑いの自分。伝家の宝刀『マネージャーと話がしたい』はこれまで通じなかったことはない、、。


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