Pharmaceutical Journal 

Unreadable Handwriting

 日本でも医療機関での治療や手術のミスなどが多く聞かれるようになったが、医療の進んでいると信じられているアメリカの方がむしろ圧倒的に多い。現在年間4-10万件近くの医療ミスが報告されており、先日も5年間で50%の減少を目指すべく、政府がその整備を宣言したばかり。しかも、その多くが『医者のハンドライティングに起因するミス』というから、頭を抱えたくなる。いつだかも書いたが、アメリカ人はハンドライティングが非常にお粗末である。今まで4年滞在しているが、自慢じゃあないが、自分以上のきれいなハンドライティングにはお目にかかったことがない。日本にいたころは、まわり(特に女性)がきれいなせいもあって、自分の字をきれいで読みやすいなんて思ったことはなかったのに、、。さて、この医療ミス、医薬分業が確立しているアメリカでは、通常医者が書いた処方箋をもって薬局に行く。つまりはそれが読めなくて、ミスが起きるというのである。あきれるばかり。
 つまりは薬剤師の責任なのか?必ずしもそれだけが原因とも言えない、と政府はコメントする。『似通った薬の名前が多い』というのがその指摘である。Painkillerとして多く処方される『Celebrex』、一方『Cerebyx』は抗発作薬。モルヒネの過投与の際に使用する『Narcan』、間違って『Norcuron』でも投与しようものなら呼吸筋が麻痺してしまう。もともと薬のブランド名なんて、疾患とか対象の臓器に関する語が使われる場合も多いので、全く逆の作用をする薬でも同じ脳神経に作用する場合、同じ『Cere-』だったりもする。製薬メーカーも、後発品であれば先発品と似た名前をつけて覚えてもらおうとする。それを避けるべく、一般名で呼ぶようにしたいところだが、この一般名というのもややこしい。もともとは主成分の化学名なのだが、いろいろな製剤ができるにつれ、時に『Na塩』になっていたり、『塩酸塩』になっていたりするのだ。これも以前書いたが、ブランド名『タイレノール』だけで用法用量の違うものが15種類以上あるし、、。その一般名アセトアミノフェンの薬となると、それ以外のいわゆるゾロは10以上ある。間違えるために存在していると言っても過言ではない、、(^^;。
 コンピュータなどを利用したReadableな処方箋やカルテの作成をその打開策にしているようだが、それよりも小中学校でのHandwritingをもっとしっかり教育したほうが、本人のためにもいいと思うのだが、、。そういう答案を読まなければいけない立場の人間として深くそう思うのである。
 

(January 22, 2000)
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