Pharmaceutical Journal 

Manly Dignity ?

 最近の新聞紙上を賑わせた薬と言えばこの二つの新薬であろう。VIAGRAとPROPECIA。VIAGRAはPfizer社が開発した勃起不全、平たくいえばインポテンツの薬である(Mar.27,98 approved by FDA)。勃起に必要なcGMP(サイクリックGMP)を分解するPDE5(フォスフォジエステラーゼ)を阻害する薬。ダイアモンド型の青いフィルムコーティング錠で、写真で見る限りその辺にある薬と変わらない。しかしこの薬、今や1錠$200とも$500とも言われている。元々はこの薬、精神的な要因からなる勃起不全を対象に開発された。したがって臨床試験にエントリーした人達はもちろん『患者』である。しかしながらマスメディアの功罪か、いわゆる老人性インポテンツの薬として脚光を浴びてしまったのである。結果、まだ製造承認されていない日本からも『バイアグラ購入ツアー』なるものが出現するくらい話題になってしまった。一方のPROPECIA。これはVIAGRAより一足早く承認されたMerk社製造の増毛薬、いわゆる毛はえ薬である(Dec.19,97 approved by FDA)。オレンジ色の八角形の錠剤で、薬効的にはステロイドタイプIIレダクターゼの阻害剤となる(わけわからないでしょうけど、、(^^;))。こちらももともとは放射線治療でなくなったいわゆる『患者』を対象に開発されたものである。しかしまたまたヤミの市場ではやってしまった。『患者』でない人までもその外観の威厳をかけて群がり、これまた一錠$200近い値がついているらしい。
 ところでこの二つの新薬、性格的には全く逆の作用を要求する。端的に言うと、VIAGRAは男性ホルモンを、PROPECIAは女性ホルモンを上昇させる格好となる。特にVIAGRAはその副作用に懸念が多く、半年以上たってなおFDAではVIAGRAホットラインなるWWWがあるくらいである(なんせすでに16人の死亡が確認されているし、、)。ということで、察しのいい人は気付くと思うが、両方を求めることはかなり難しいということなのだ。VIAGRAで生殖機能を残しても、その副作用で髪はぬけやすくなる。一方、PROPECIAで髪を増やせば、勃起しにくくなるのだ。究極の選択、、男の威厳としてどちらをとるか、、。あなたなら、どうする?

(October 2, 1998)
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