Pharmaceutical Journal 

Woman's Equalizer !?

 この話題はかなり色々な方面の情報を集めて書いている。断わっておくが、内容は鵜呑みにしないでいただきたい。ただ、いつか書いておきたかったテーマでもあった(このHPの読者に女性も多いからね)。でも自分が男だけに書きづらいところもあるんではある<言い訳(^^;。しかも長い(^^;。
 『低用量ピル』。日本でも経口(口から飲む)避妊薬として1999年9月に認可がおりた。日米どちらでも処方箋が必要なEthical Drugである。日本の場合、自由診療で医療機関により費用は異なるが、平均で診療費込で3月分10000円弱(アメリカはそのうちに調べときます<知っている人いたら教えて!)。作用は黄体ホルモンと卵胞ホルモンの働きによる排卵抑制、子宮内粘液増加による精子侵入阻害、および子宮内膜を薄くすることによる受精卵の着床防止である。ただし毎日一錠決まった時間に飲むことが要求される。したがって効果は『飲み忘れなければ』という条件がついて99%である。主な副作用ははっきりしているもので吐き気、頭痛、不正出血のみ。巷で言われている血栓症や乳癌、子宮頸癌のリスクは不透明ながら若干上昇するとのことである。もちろん当初の目的は『避妊』であるが、『月経痛軽減』や『子宮内膜癌予防』にも使用される。
 さてこの『低用量ピル』、昨年末くらいから様々な反響を日本ではもたらした(らしい)。まず日本産科婦人科学会設定のガイドラインに則った11項目に上る検査項目をクリアする必要があった。これが自分から見ても明らかにピル服用とは無関係のものもあるのである(例えば性感染症検査)。一方、製薬メーカーは女性の抵抗感を考え、ポーチとピルケース、小冊子つきの『スタータキット』を提供するが、その分コスト高になった。そして最も大きな懸念は『副作用』と『男性側の妊娠に対する意識低下』である。『副作用』については結論から言えば、『個人差あり』であろう。月経痛のひどい人にとってみれば、その軽減も得られるため、多少の副作用は受け入れられるだろうし、もともとそうでもない人は余計な頭痛や吐き気にはうんざりするはずである。では、本当に安全なのであろうか?もう一度断わっておくが、これはプロの意見ではなく、調べた結果の
『私見』である(『自分の奥さんにこう薦める』程度(^^;)。結局、『ホルモンバランスの調節』→『重篤な副作用発現』の懸念である。自分の意見としては、『なくはない』というのが結論。個人的に最も懸念されるのは、ピル服用をやめたときのリバウンドとしての『不妊』である。ホルモンはそもそも適材適所的に分泌されて体調節を行っている。それをピルは平坦にすることで『避妊』するわけで、結果本来の分泌は抑制がかかり、子宮内膜は薄くなるわけである。したがって、服用をやめたかと言ってすぐに分泌が正常に戻り、内膜が厚くなるか、と言うと信じ難いところもある。長期服用のケースが多いだけに、自分の中の?マークは多くなる一方である。ということで、自分の中での用法は『今後の妊娠を一生しないための避妊と付随する月経低減』及び『子宮内膜症及び癌既往患者の再発予防』ということになりそうである。つまり、『いつかは妊娠したいけど、今はしたくないという女性』やただ『生理痛がつらいから』とか『子宮癌になりたくないから』という女性にはお薦めできない。<しつこいけど『私見』です(^^;。一方の『男性側の妊娠に対する意識低下』であるが、これは極論の意見として『コンドームをしなくてすむ』、『結果、妊娠=女性の責任=男性の責任逃れ』ということがあげられよう。ある人が『男性に都合のいい方法』と評価した記事を読んだが、まったく否定はできないと自分では思っている<だからと言ってそれに乗じる気は毛頭ないが(^^;。そこで、タイトルである。『Woman's Equalizer』。残念ながら日本の場合、この言葉が一番フィットするような気がする。本来ならあるはずの『妊娠選択の権利』があまりにもないが上での結果であろう。一方、自分の周りをみている限り(もちろんヘルスケア関係者が多いので認識は一般よりあるだろうが)、その『権利』はあくまでも女性にあるケースが多い<ほら、アメリカ映画のラブシーンは女性がしかけるケースが多いでしょ(^^;。せっかく手に入れた『女性の権利』、余計な反論につぶされることなく、男女関係をよりよい方向にするきっかけになることを願うばかりである。特に子供をすでに授かった夫婦の方々に。<そんな読者はいなかった(かな?)(^^;。

お願い:本エッセイは自分の中で最も自信のない意見を載せたものになってしまいました。なんと言っても使うこともないですし。でも必要な人もそうでない人も読むことで考えていただけたら、と思ってなんとか私見をまとめた次第です。ご意見、反論等はMore than welcomeです。

(April 13, 2000)
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