Pharmaceutical Journal 

OTC -Generic-

 我々が通常服用する薬は、医者の処方箋がないともらえないEthicalと薬局で市販されているOTCに別れる。OTCはOver The Counterの略で、日本ではルルやエスタック、パンシロン、アメリカではアドビルやタイレノール、ペプシドACなどがそうである。しかしこのアメリカのOTC、日本人にとって侮ることのできないシロモノなのである。通常、薬の投与量は体重1kg当たりの有効投与量(○g/kg)をもとに計算される。つまり体重が違えば、投与量も違うのである。しかし一人一人に製造するわけにもいかず、標準体重というもので製品の投与量が決定される。ご存じのようにアメリカではでっかい人が多いゆえ、その標準体重は約70kgであるらしい。一方、日本人は50kgである。つまりこの段階ですでに1.4倍の投与量の差があるのである。加えて、アメリカでのOTCは効くことを重視しているため、この体重1kg当たりの投与量そのものも日本のそれより高めに設定されることが多い。たとえば、日本のルル、主薬のアセトアミノフェンの量は1回300mgとなっている。しかしこちらのタイレノール、これも主薬はアセトアミノフェンだが、通常タイプで500mg、Extra Strengthに至っては1000mgとなる。つまり、1.6ないし3.3倍ということになる。これを普通の日本人が飲めばどうなるか。おおよそ察しはつくはずである。幸いアセトアミノフェンの場合、大した副作用はないが、とにかく気をつけなくてはいけないのである。もう一つ、日本のエスタックイブのイブプロフェンは一回150mgである。はっきり覚えていないが、こちらの同薬アドビルは250と500mgの2タイプだったような気がする(後日確認の予定)。これなんか下手したら、熱を下げるどころか低体温になってしまうことすらある。
 そんなわけで、下は赤ん坊から、上は小錦みたいな人まで対応させるべく、こちらの市販薬は1ブランドでも種類が多い。さらに錠剤でも丸い、長い、カプレットさらにはシロップなどがあるため、たった一つのタイレノールを探すのにも一苦労である。先週風邪をひいたのでタイレノールを買いにCVSに行ったら、タイレノールが全部で12種類もあった。選ぶ方も大変だが、製薬企業出身の自分としては造る方も大変だ、などと変なところで感心してしまった。これ全部臨床試験やったのかな〜なんてことを考えながら、今日ウチのボスに聞いたらどうやら全部はやっていないようである。やってたら、利益でないもんね、やっぱり。

(November 12, 1997)
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