Pharmaceutical Journal 

West meets East: Aftermath of Merge

 相変わらず製薬業界のMerge(合併)のニュースは後を断たないが、実際合併後の業績は著しく改善されるわけではない。1996年に合併して当時最大の製薬企業となったGlaxo-Wellcomeもそのリストラクチャリングに難航したため、その純益はここ数年下方修正を続けている。親会社が合併をすれば、対応する日本の方も当然合併するのが筋と言えるだろうが、それがそうも簡単に行かないのが実情のようである。この場合、日本側から言えば外資企業となるわけだが、その外資企業を設立する場合、その株式を投資する純日本企業とシェアする形で始められるケースが多い。この場合、その純日本企業は必ずしも製薬企業とは限らない。例えばGlaxoの場合、1996年の合併時、日本では住友化学と新日本実業との株式シェアで設立された日本グラクソが存在した。そして製品の販売配送は三共とのジョイントベンチャー、グラクソ三共が担当していたのである。研究はもとより、その販売配送は新規参入企業には荷が重く、三共の強力な販売力に依存したほうが得策だからである。このような状況下での合併である。つまりGlaxoとしては日本ウエルカムと合併するだけでなく、日本グラクソのシェアホルダーである住友化学と新日本実業とも交渉をせねばならず、さらにグラクソ三共の整理も必要になったのである。結局この交渉に4年間を要し、日本グラクソウエルカムは80%Glaxo-Wellcome、20%住友化学のシェアで1999年夏設立され、グラクソ三共は同時に解消された。合併に4年という歳月は費やしたものの、今年の純益は好調のようで、外資系最大の15%の増益となったそうである(ちなみに昨年までは-12%と減益)。昨年同様に合併したAstra-ZenecaのAstraも藤沢薬品とのジョイントベンチャー、日本アストラの解消を検討していると聞いているし、必ずしもStraight-forwardには行かないようである。
 製薬に限らないことであるが、米国企業にとっての日本進出はカルチャーショックの連続で極めて困難をきたすらしい。こと製薬の場合、承認に関する厚生省の偏った絶対的権力と薬価査定方式に困惑するとともに、その販売方式の違いが外資の台頭を阻んでいた。実際、日本の製薬市場のシェアに例を見ても、日本メルクの2.3%程度が最高である。しかしながら、最近統合が進みつつある医薬品承認のハーモナイゼーションの効果は徐々に現われているようで、NovartisのNeoral(cyclosporin)、PfizerのViagra(sildenafil)など、順調に収益をあげているものも増えてきた。ある意味では鎖国的なところもあり、米国に次ぐ$46Billionの市場は今後世界のGiantPharmの進出にさらされるであろう。果たして日本企業はどうやってこの状態を乗り越えるのであろうか?個人的に非常に興味深い。がんばって欲しいものである。
 ところで、先月かのGlaxo-Wellcomeはさらなる合併を発表した。今度は英国主体のスミスクラインビーチャムとである。これでまた世界1位へ躍り出たわけだが、こうなると最後には5社くらいのGiantPharmとあとはベンチャーなんて状態になるんでないか、との冗談が本当になりそうな勢いである。日本グラクソウエルカムの『またか〜!』との声が聞こえるようである。そう、日本スミスクラインも確かに存在するのだ。

(March 10, 2000)
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