Pharmaceutical Journal 

Merge, then Lay-off

 アジア経済とは対照的に、アメリカ経済はすこぶる好調と言われている。失業率が過去最低(4.4%)を記録し、一見すべての企業が絶好調であるかのように認識しがちである。しかしながら実情、企業はその生き残りにかけてかなり大胆な策にでている。製薬企業に限ったことではないが、98年、アメリカの多くのいわゆる大企業が『Merge(合併)』と『Lay-off(解雇)』を発表してきた。『CITI CORP(銀行)とTravelers Group(保険)』の合併は総資産700億ドル、その顧客1億人を計上する巨大金融を作り上げた。『EXONとMOBIL(石油)』や『ChryslerとBentz Dimler(乗用車)』もかなり大規模の合併であり、アメリカならず世界各国にも影響を与えている。当然その『Merge(合併)』の主目的は『競争力の強化』であるが、さらなる強化を目的としたとき、それら企業は必ずと言っていいほどかなりの数の『Lay-off(解雇)』を余儀なくされる。前述の『EXON-MOBIL』も先日9000人の『Lay-off(解雇)』を発表した。そしてクリスマスを前にして、全米を驚愕させたのは48000人の『Lay-off(解雇)』を発表した『Boeing(航空機製造)』であった。
 さて製薬企業はどうであろうか?実はこの業界、現在に至って単独で存在しているいわゆる大企業はかえって少ないというのが現状なのである。『GlaxoとWellcome』の合併は世界最大の製薬企業をつくりあげた。その後、『Ciba-GeigyとSandoz』(Novartis)がその地位を引き継ぎ、そして12月、『HoechstとRhone-Poulenc』(Aventis)が躍り出た。『Hoechst』は,それ以前に『Marion-Merell』と『Dow』の2社を『Merge(合併)』しており、事実上4社『Merge(合併)』とみなせる。そして、その従業員数は95000人となるらしい。それに触発されるかのように同じ12月、『AstraとZeneca』(AstraZeneca)の合併が発表された。この『Astra-Zeneca』の発表したプレスリリースによれば、世界第3位、総資産70億ドル、従業員数47500人の製薬企業となるらしい。2年前まで世界最大を誇ってきた『GlaxoWellcome』はその実力に変わりはないものの、他社の合併により第4位にランクされてしまうのである。さらに『Astra-Zeneca』、同時に3年間、6000人の『Lay-off(解雇)』を発表している。つまり12%の従業員を『Lay-off(解雇)』しようというのである。他業界の慣例にもれることなく、製薬企業も『Merge(合併)』→『Lay-off(解雇)』というルートは避けられないらしい。同じくクリスマス前に『Johnson&Johnson』が発表した2500人の『Lay-off(解雇)』も同様の経緯を経たものであろう。
 『Merge(合併)』しても安泰なのは、決して『Lay-off(解雇)』されることのない本当のトップの人間だけなのである。こういう時代が来ると、これから就職先を選ばねばならない大学院生にとっては、研究力うんぬんよりも違う面も考える必要がでてくる。そして、現在就職先を探している大学院仲間の一人は『Merge(合併)』した会社からあたり始めた。しかし、『Merge(合併)』した会社が新人をとるとは思えんが、、、。見物しちゃおうっと!

(January 10, 1999)
Back to main page