Pharmaceutical Journal 

Internet Pharmacy

 ホームページでサービス展開しているPharmacyは当然のことながらPrescription(処方箋)を条件として、患者に薬を送付している。したがって、患者自身は少なくともPrescriptionと引き換えに医者にかかる(もしくは行く)必要があったわけである。ところが現在問題となっているPharmacyはPrescriptionなしに薬を配布するというもの。WEB上で、症状を含めたアンケートに答え、それをチェックした医者ないし薬剤師がPrescriptionを発行、同時に薬を送付するというシステム。これが州によっては合法であったため、ついにFDAが警告を発した。遠く欧州にもこの手のWEBはあり、アメリカにいながら未承認の薬をさらにPrescriptionなしに手に入れられてしまうのである。例えばバイアグラの場合、まず患者はクレジットカード情報や健康状態、症状についてのアンケートに入力する。するとWEBの反対側でその情報を読んだ薬剤師が適当であればバイアグラを処方するわけである。費用は$35-85のコンサルタント料プラス薬の値段となる(バイアグラは10錠$105)。確かに彼らの言い分にあるように、例えばHIVのような疾患では、しばしば患者が医者にかかることを拒否するケース(プライバシーの問題であったり、恥ずかしいなどであったりの理由で)もある。この傾向はバイアグラや精神安定剤、抗うつ薬などでも指摘されている。しかしながら一方で、アンケートに虚偽を記述することもできるわけで、当然不法入手なんて簡単にできてしまう。FDAとしても安易に禁止することもできず、今回は公衆への警告の発表にとどまった。
 アメリカがこうである状況の中、日本では似ているようで似ていない事件が起きていた。ホームページにて人生に悩める人々を集め、自殺幇助と銘打って青酸カリを送付したのである。そして彼は薬剤師であった。そして彼なりに送付すべき相手をメールなどでの交流から選択して、『適当な』相手のみに送付したという。病んでいると言えばそれまでだが、発想は前述のビジネスと殆ど変わらない。送付したものが治療のための毒か、本当の毒かの違いだけであろう。『インターネットはそれまでのビジネスの形を一変させた』とよく耳にするが、『使い方一つで良くも悪くもなる』というコンセプトは通用するようである。しかし、地下鉄サリンから始まり、カレーひ素、先の青酸カリ、どうも毒化合物がからんだ事件が多いような気がするのは自分だけだろうか?それだけ日本が毒化合物に対して甘いのか、一般の人々のそれらに対する知識が豊富なのかは不明だが、あまり歓迎されるべき状況ではないことだけは確かである。

(December 29, 1998)
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