Pharmaceutical Journal 

Alcohol Dilemma

 別にアルコール依存症になったわけではない。こちらで研究をする上で最も入手が面倒な試薬の一つにエチルアルコールがある(向精神薬は世界共通で入手難しいけど、、)。いわゆる、酒に入っているアルコール。この最も一般的なアルコール、大学のラボと言えども『本当に』必要最小限しか持てない。どのくらいが必要最小限かというと、2Lが限界。しかも新たに入手するのに3日はかかる。液クロの溶媒に使おうものなら、3日で使い切ってしまう量である。さて、新たに入手しようとするとき、どうするか?まず、その施設がアルコールの保管を許可されていることを示す書類をコピー。発注のための専用の書類に用途と量を記入して、担当教授、管理教授、学部長のサインをもらって、発注。毒劇物管理局(学内)にもコピーを渡して、3日目にもらえる、、のだ。建物の中をあっちこっち動いてやっと最大2Lを入手するのである。入手しても定期的にかの管理局の査察があったりする。頻繁に使わねばならないプロジェクトにあたった学生はたまったものではない。ましてその研究室に使用許可がおりていない場合、さらに大変。先の毒劇物管理局にチェックをしてもらってまず許可書をもらわなければならない。必要条件は保管場所に鍵がかけられることとその鍵の保持者の面接。。これだけで大抵1週間は待たされる。非常に面倒なのである。なぜこんなに繁雑なのか?答はなんと『飲んじゃうから』なのだ。アメリカではアルコールの飲酒問題は深刻で、ここMCVでも飲酒関連で運ばれる患者は1日たりとも途切れたことがない。まして大学ともなると、特に学部の学生では全米で深刻な問題になっているくらい。たとえば学部学生の多いキャンパスでは週1回アルコール依存の学生のための回復プログラムが開催されている。また、先日のNEWS WEEK(9/21)掲載のハーバードの調査によれば、2週間に3回以上ガブ飲み(定義:ひといきに5杯以上)する学生は25%に及ぶという。ということで、こんなに厳しくなってしまうのである。事実、薬学部でも夜中に働くハウスキーパーが勝手に持ち出していたという事件が起きたそうである。それでは、巷ではどうなるのか?意外に知られていないことだが、少なくともここリッチモンドでは酒類を町中で飲んでいるとそのまま逮捕である。もちろんバーやレストランは別だが、ソーダやコーヒーを歩きながら飲むアメリカ人もビールを歩きながら飲むなんてことは決してしない。地ビールフェアに行ったとき、うっかり会場から持ってでてしまったら(と言っても10mくらい)さっそく警官に怒られた。その場であげたら、こまっていたけど、、(^^;。ドラッグストアにもエチルアルコール(主に消毒用)は置いてない。代わりにイソプロピルアルコールが置いてある。理由は飲めないから、、。しかしエチルアルコール、、、そのままだとまずいぞ、、特に試薬の奴、、。そうまでして飲みたいのか。。<なんで知ってる、自分?

(October 8, 1998)
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