Monologue on a Fine Day 

Where is Richmond?

 リッチモンドと聞いてバージニアの州都とすぐに答えられたら、相当のアメリカ通ではないかと今でも信じている。かく言う自分も学生のころ、リッチモンドはおろかバージニアさえ知っていたか自信がない。会社を退職するとき、まわりの連中は決まったように「リッチモンドってどこ?」と聞いてきた。住み始めて一年。知られていなかった理由が凡そつかめてきた。何にもないのである。日本人はいない。観光地はない。あるのは南北戦争の跡地とその記念碑くらい。当然、日本人観光客なんて在住日本人の血縁か友人以外お目にかかったことがない。
 リッチモンドはかの南北戦争のとき南軍の本拠地となったところで、もし南軍が勝っていたら、アメリカの首都になっていたはずのところと住んでいる人は言う(とは言っても今まで首都であろうはずがないことはわかりそうなものだが、)。その証拠にちゃちいホワイトハウスなるものが残っている。が、しかしその場所がいけない!うちの大学の病院と自分のいる薬学部のビルの間にあるのだ!造りも本物とはえらい違いで、こりゃ南軍は負けるわい、という代物である。
 何もないとは言っても、日本人観光客にとってということであり、こと住むことに関しては特に問題はない。大抵のものは手にはいるし、ちょっと走ればDCには行けるし、もともといわゆる都会のあまり好きでない自分にとってはあってるんかとも思う。日本人がいないということは、現地の人間にとってさほど脅威を感じることもないらしく、Japaneseとわかると全般的にはみな人当たりはいい(ここでも中国人は脅威らしく、大抵よく扱われないらしいが)。かくして、英語を使うことにさえ慣れてしまえば、住みやすい方の街かもしれないと思う今日この頃。

(October 22, 1997)
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