Monologue on a Fine Day 

To Be Smart !?

 ある日の新聞記事に、『Gastric Bypassが肥満に悩む人に夢を』とあった。何だ、そのGastric Bypassつうのは?と読んでみて、おったまげた。なんと外科的に胃の上部と小腸の入り口にバイパスを作って、むりやり食べ物の入る容量を減らすのである。新聞記事では『タンパクや炭水化物の消化吸収には影響せず、脂肪のそれだけを減少』と絶賛している。確かにここアメリカでは、一般的に肥満=食べ過ぎと言えない部分もある。遺伝的にアジア人と比較して欧米人は太りやすいという結果もあるし、脂肪の吸収能力が高く代謝能力が低いということも指摘されてはいる。ただ、そういった人々を除き、自分の観察から言うと80%近くはやっぱり食べ過ぎである。薬学部であるからということもあるのか、大抵の食べ過ぎPeopleは理屈っぽい。「走ったから炭水化物が必要」だの「疲れたときにはグルコースがいい」などと言いながらベーグル2個とか板チョコ1枚とか食べているのである。土地が乾いているせいもあり、水の摂取量は必然的に多くなる。どうして「食べない」とか「飲まない」ってことを考えないかなあ〜?と思いつつ、他人のことだからいいやと冷たい自分。この前も、同級の大学院生がグミの1lb.(450g)パックを二つ持ってきた(グミはアメリカでも結構有名なジャンクフードである)。それだけでもびっくりしたが、なんと3人で2週間かけて食べ切ってしまったのである。単純に計算して一人300g。「いくらそんなに栄養にならないグミとはいえ食べ過ぎだ」と指摘したら、「食べ始めるとやめられないんだもの!」と言い訳。それでいて次の日「体重が最近増えているので日本食を食べよう!」と誘いに来た。さすがに普段は他人のことに干渉しない自分も「日本食にしたからって根本的な食生活を変えない限り太ることには変わらないよ」と言ってやった。話してみてわかったが、彼女たちには2週間かけて食べたグミは食べ過ぎではなかったのである。それ以来、ラボメイトが食べ過ぎと思えたとき指摘する役をおおせつかっている。
 さて新聞記事に戻るが、そのGastric Bypassにより160kg以上あった女性が56kgになったとある。しかも彼女は保険適用で、この手術をしたとのこと(さすがに保険会社も1 月から保険適用をはずすらしい)。本当の意味で病的肥満の人を除いて、これが本当に治療なのだろうか?周りにいる肥満を恐れる人々の生活ぶりを見ているだけに、?がいっぱいである。根本的な食習慣を変える教育が欠けているようにも思うが、、。科学至上主義に偏重しがちな領域だけに心配ではある。しかしかくいう自分も近ごろちょびっと太り始めた。おやつやめようーーと。

(December 25, 1997)
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