Monologue on a Fine Day 

Too Cautious ?

 渡米以来、いい意味での医者いらず、悪い意味での保険の掛け捨てをしてきたが、ついに声がでなくなるに至り、心配になり医者にかかることにした。今までも熱がでたりもしていたが、あえて医者にはかかっていなかったのである。理由その1:予約制。日本では歯医者くらいなものだろうが、ほとんどのPrimary Care Physician(PCP)は予約制なのである。まわりの話を総合すると、朝電話してその日のうちに診察してもらえればもうけもの。下手をすれば1週間も先なんてこともあるらしい(風邪なら確実に治っちゃうね、、)。理由その2:保険。自分は海外渡航者用の損害を含む保険に加入している。これはこれで確かにオトクな保険なのであるが、システムが結構面倒くさい。RICの場合、提携病院の数が少ないため、ほとんどの場合自分で支払った後に請求する形となる。しかも基本的には損害保険に健康保険の要素を付加しているため、風邪とかのヤワな病気には結構冷たい。今回も『一週間経過しても声がでない』事実をもって認めてもらった。理由その3:PCPをまだ決めてない。こちらではほとんどの医療行為はPCPを介して行われる。つまり大学病院に行くときだけでなく、耳鼻咽喉科や眼科にいたってもPCPに連絡して紹介状をもらった方が予約も早くとれるのである(歯医者だけは別らしい)。PCPは担当の患者のほとんどの疾患履歴を把握しており、たとえERに運ばれてもERの方から連絡が入るくらいである。そのPCPをその必要性のなさからまだ決めていなかった。日本のようにどこも同じで最低限安心できるわけではなく、下手なところに飛び込めばヤブだったりもする。先日知人が歯医者のヤブにひっかかって$2000近くかかったうえ、治療跡が化膿してしまったし、アメリカ人でさえ子供のPCPの選択などにはかなり慎重に情報を集めている。加えて自分の場合、前述の特殊な保険にも適応してもらわないと困る。うかつなところだと、保険会社から請求の拒否を被る羽目になるのだ。
 ということで避けていたのだが、ついにそのプロセスを覚悟した次第である。それでも、その前に大学のEmployee Healthに行き、一応の診察を受けてもみた。さて当日、声が出ないので隣のビルの耳鼻咽喉科へトコトコと出向き、窓口で『薬学部で働いてるんだけど、声がこんなになっちゃって。予約とれない?』と聞いてみる。『ここに直接来たら予約は月末よ。』、、やっぱりPCPに行かねばだめか。『う〜!』と悲しい顔をしていたら『明日の朝電話してみて。キャンセルがあったら入れてあげるから』。途端に明るい顔。そして次の日。『キャンセルでたからおいで』。またトコトコと行く。必要書類を書き終わって待つこと5分。呼ばれた(^^;。喉の粘膜培養用のサンプルまでされ、処方箋とともに『授業は週1回がいいんだけど、、』と言われつつ、診察を終える。結局1時間と病院にいなかった。PCPも決めるわけでもなく、保険についても不安のない大学病院で、ほとんど待たずに診察してもらえたのである。このときほどMedical Collegeで働いていてよかったと思ったことはなかった。その次の日、Street Vendorでパスタの列に並んでいたら、偶然かの先生が後ろにいた。会話をするなり、『昨日より少しよくなってるね。まあ2週間くらいかかるかも』とのこと。う〜ん、安心、安心。

(April 10, 1999)
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